お前がいる場所が、好き。Ⅰ

わたしは、誰もいない帰り道を1人でとぼとぼと歩いていた。


寺本は、告白を受け取りもしなければ断りもしなかった。


寺本は少し考えているみたいだけど、受け入れるだろうな。


これで桜花ちゃんは、わたしに何もしてこなくなるだろう。


奈緒と美咲が言っていたように、丸く収まるだろう。


きっとこうするしかないし、これで良いんだろうな。


なんで、桜花ちゃんと寺本が一緒になるのがわたしは嫌なんだろうと思っていた。


わたしと桜花ちゃんは、きっとライバルだったんだな。そうして、わたしは桜花ちゃんという名のライバルに負けた、ということなんだな。


桜花ちゃんの方が、寺本と一緒にいる時間が長いから、そりゃあ負けるだろう。


それに告白を盗み見までしたんだし。


そう思うと、涙が一筋流れてきた。


もう、お母さんのお許しが出ても湖には行かない方がいいかな……。




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