お前がいる場所が、好き。Ⅰ
桜花の過去
わたしが陸男くんと会ったのは小学2年生の頃だったの。
お父さんもお母さんも忙しいから、家ではいつも1人でいることが多かった。
悩み事があっても、家には誰もいないから相談できる人なんていなかったし。
ある日、わたしが友達の家に遊びに行った後、帰っている最中、6歳くらいの女の子が1人で泣いていたんだ。
『うわーん、うわーん!』
周りを見てみたけれど、誰もいなかったから迷子かな、と思って話しかけたみたんだ。
『どうしたの?』
『あのねぇ、おにいちゃんと、はぐれちゃったのー!』
おにいちゃんとはぐれた。ということは、この女の子はやっぱり迷子になったのか。
『お名前は? 今は、何歳?』
『てらもと、かざね。6さい』
6歳、ということはわたしとは2歳差なのね。
『かざねちゃん、お姉ちゃんと一緒にお兄ちゃんを探してみようか?』
『うん!』
かざねちゃんは涙を拭きながら、わたしと一緒に彼女のお兄さんを探したんだ。