お前がいる場所が、好き。Ⅰ
翌日、学校の休み時間で廊下を歩いていたら、
『あっ、昨日の!』
という声がして振り返ってみると、彼が立っていた。
『あっ! 陸男くん!』
顔だけどこかで見たことがあるなと思ったんだけど、同じ学校だったんだな、と思った。
『同じ学校だったんだね!』
太陽のような、元気で男の子らしい笑顔で陸男くんは言った。昨日、風音ちゃんに見せていた安心したような感じとは、また違う表情。
『わたしもびっくりだなぁ!』
『昨日は、本当にありがとう。風音も、また栗原に会いたいって言ってたから。だから同じ学校でよかった』
わたしに会いたい、だなんて本当に嬉しかった。
迷子になっている子を見かけるだなんて、結構それが最初で最後の時は多いでしょう。
だから、あれが最後になると思っていたから。
『そうだね、わたしも風音ちゃんに会いたい』
『風音、喜ぶよ』
今度は、明るい笑顔とは違う優しい微笑み。やっぱり笑った顔って、違うんだなと思った。
妹のことも大事にしていることも伝わった。