お前がいる場所が、好き。Ⅰ

わたしも時々、陸男くんや風音ちゃんに会いに行ったりした。


お母さんが仕事から帰ってくるのが遅いから、わたしの家に入れてあげることはなかったけどね。


わたしと陸男くんの家の距離があまり遠くなかったから、中学校も一緒に通うことができて嬉しかった。



『栗原、おはよ!』



『おはよう、陸男くん!』



挨拶を交しあって、2人で登校する、なんていう当たり前のひとときもわたしにとって無意識に口角が上がるほど大切な時だった。


……けど、告白なんてできなかった。
関係を壊したくなかったし、彼がわたしのことを恋愛対象として見ているのかも分からなかったんだし。



『栗原さん、好きです』



中学1年生の時、同じクラスの全然親しくない人に告白された時は、本当にすごく驚いた。



『えぇっ!?』



びっくりしすぎて、沈黙を流してしまった。
告白してきた男の子は、本当に真剣だったし本音を言うと嬉しかった。けれど、わたしは受け入れることができない。



『ご、ごめんなさい! わたし、好きな人がいるんです。ごめんね?』



そう、わたしには既に陸男くんしか見えていなかった。




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