お前がいる場所が、好き。Ⅰ
翌日、わたしは彼を近くの公園に呼び出した。
『んで、話ってなんだよ?』
いぶかしげに、わたしを見つめる彼。
『わたし達、別れよう』
『は?』
『お母さんに交際を反対された……』
本当の理由は言えなかった。
嫌い、なんて言えなかった。
怖くて、いつも彼のことを悪く言えなかった。
『お前、彼氏より母親が好きなのかよ?』
『ごめんなさい……』
わたしはいつものように、俯いて謝った。
いつも、こうするしかなかった。
『何が、ごめんなさいだよ。彼氏より母親が好きとか、その年にもなって、お母さんっ子かよ』
彼の言葉を聞いて、わたしは、カチンときた。
あんなにしつこく告白してくるから、仕方なく付き合ってあげているということが分からなかったなんて。
『って、告白してきたのは、どっち!? あんなに何回も告白してきたのは、そっちでしょ!?』
やっと、本当の気持ちが言えた。
けれど、そんな気持ちよりも他の気持ちが次の言葉で勝ってしまった。
『お前……生意気言ってんじゃねぇよ!』
彼は今までで1番険しい顔をして、わたしの胸ぐらを掴んだ。
『いやっ、やめて!』
それでもわたしは胸ぐらを掴まれたまま、近くの池へ落とされた。