お前がいる場所が、好き。Ⅰ

少し歩いていくと、湖が見えてきた。水しぶきも見えてきた。
子供達の笑い声が聞こえる。
近くで、寺本が座っていた。



「寺本ー!」



わたしは、彼に手を振った。彼も振り返って手を振り返してくれる。

箱の中でシュークリームが崩れるといけないので、走れない。


わたしは、寺本の隣に座り、シュークリームの箱を渡した。



「はい、シュークリーム。買っておいた」



「あっ! 悪いな」



寺本は、箱に入ってあるシュークリームを1つ取り出して、湖を見ながら食べ始めた。
わたしも、隣でシュークリームを食べる。



「どう? 美味しい?」



「いや、き、聞くなよ。う、美味くなかったら食い続けてる訳ねえだろ!」



また強がっている。
言っていることは、ぶっきらぼうだけど美味しいと思ってくれていることが伝わった。



「そうなんだー! 良かった!」



「お前、俺が美味くなくても食い続ける奴だと思ってたのか? こ、言葉遣いで分かんだろ! 俺が優しくない奴だって」



恥ずかしがる男子は、こんなに可愛かっただろうか。




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