お前がいる場所が、好き。Ⅰ
陸男くんと桜花ちゃんは、わたしと一緒に家までついてきてくれた。
『お母さんは家にいるの?』
心配そうに聞いてくる陸男くん。
『いつも仕事で忙しいから、今はいないんだ』
わたしは首を小さく振ってから、答えた。
『帰ってくるの、いつぐらいなの?』
『いつも大体、7時半くらいかな』
わたしが答えると陸男くんは、それは遅いな、と言って少し考え込むように腕を組んだ。
『ねえ、桜花お姉ちゃん。明日、予定がなかったらお家に来て。何があったか話してほしいの』
心配するように言いながら、わたしの服を軽く引っ張る風音ちゃん。
『こら、風音。無理に聞いたら悪いだろ』
風音ちゃんの手を、わたしの服から離させながら彼は言った。
『ううん、大丈夫! 大丈夫だよ!』
わたしは無理に笑顔を作った。
風音ちゃんは、いい子だな。こんなにわたしの心配をしてくれて。
もちろん、お兄ちゃんである陸男くんもだ。こんな風にわたしを助けたり気遣ってくれたりして。