お前がいる場所が、好き。Ⅰ
翌日に、わたしは陸男くんの家にお邪魔した。
『桜花お姉ちゃん。ここ、いいよ』
ソファに座っている風音ちゃんが、隣をぱんぱんと叩きながら言った。
『ありがとう』
わたしは、風音ちゃんのすぐ隣に座った。
『昨日、付き合っていた彼氏と別れることにしたんだ』
『川野と?』
俯き加減でわたしが言うと、陸男くんはそう聞いてきた。結構、みんな知っていたんだな。
わたしは、こくんと頷いた。
『どうして、別れようって決めたの?』
わたしは、今まであったことや昨日のことを全て話した。
『そんなことが……』
眉間にしわを寄せて、陸男くんは言葉を失った。
『桜花お姉ちゃん、可哀想……』
横から風音ちゃんが抱きついてきた。まるでわたしの代わりに泣いてくれているような声だった。