お前がいる場所が、好き。Ⅰ
「ごめんなさい……」
雷と雨の中、彼女の震える声しか聞こえなかった。
「沙織ちゃん、あの時は本当に本当にごめんなさいっ!」
桜花ちゃんは、深々と頭を下げた。
「おう、か、ちゃん……」
胸が押しつぶされるような思いだ。
そんな辛い過去を、わたしは何も知らなかった。
大雨の中、びしょ濡れになって辛い過去を話した彼女を思うと、泣きたくてしょうがなかった。
「桜花ちゃん、教えてくれてありがとう。辛かったね……」
わたしは、それしか言えなかった。