お前がいる場所が、好き。Ⅰ
もう誤魔化すことなんて、できそうにない。
わたしは少し間を空けてから、
「お母さん。わたしね、湖に落ちたことあったでしょ。自分で落ちたんじゃないの」
と、正直に打ち明け始めた。
「わたしに他の塾を勧めてきた、同級生に落とされたの」
「えっ……!」
湖に落ちて帰ってきた、あの時と同じように、お母さんはすごい顔をしている。
「その……。彼女は、湖でわたしが一緒にいる男子を好きみたいで。彼は、わたしと一緒の塾で。その同級生は、わたしと彼が一緒にいるっていうのが気に食わないらしくて」
まごまごしながら話しているけれど、お母さんは本当のことだと思ってくれているだろう。
「それで、『あんたが邪魔なの!』って落とされたの」
少し間を開けた後、わたしは1番お母さんに言いにくいことを話した。
「彼女、告白したんだけど、今日彼に振られて。その後、わたしは彼女を追いかけたら、あのことを謝られたの」
今までお母さんには言わないできたことを、申し訳ない気持ちがこみ上げてきた。