お前がいる場所が、好き。Ⅰ

わたしがそう言いかけようとすると、



「修二くん……」



と、桜花ちゃんが俯いたまま彼の名前を呼んだ。



「わたし、あんたに告白された時、あんたに暴力を振るわれてた時、どんな気分だったか知ってる?」



まだ彼女の声は小さいし、震えている。
当然だけど、まだ桜花ちゃんは怯えているんだ。



「わたし、1回目の告白は本当にびっくりしたけど嬉しい気持ちだってあったよ? だけど、何回も告白してきて、仕方なく受け入れた。それで付き合った後、暴力を振るわれてた時、痛かったし辛かった」



ゆっくりと顔を上げながら、桜花ちゃんは川野くんの方をしっかりと見た。



「告白を何回もするほど、わたしを好きになってくれたのは嬉しいけど、なんで小さな事でも殴ったりしたの? 恋人ってそういうもんなの?」



言い終わった後、桜花ちゃんは口をきゅっと結んだ。
その後、誰も何も言わず沈黙が流れた。


わたしも、もう何を言えばいいのか分からない。




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