お前がいる場所が、好き。Ⅰ
「あー! にいちゃんとさおりちゃん! シュークリームたべてる!」
寺本の弟妹が、シュークリームを見て羨ましそうに見ながら、言った。
「大丈夫よ。皆の分もちゃんとあるから」
わたしはそう言って、シュークリームの箱を皆に差し出した。
「やったー! いただきまーす!」
嬉しそうに、シュークリームを頬張る姿を見ていて微笑ましい。
「美味しい?」
「うん! すっごいすっごいおいしい!」
なんで、兄弟で美味しいと聞かれた時の反応は、こんなに違うんだろう。
「お前ら、後でちゃんとお礼言えよー」
「言うよ!」
寺本の弟妹は、少しふてくされた表情になって言った。
「結構、うるさい奴なんだよなー」
寺本の言葉に、わたしは力なく笑うしかなかった。
「大変だね……」
「まあ、もう慣れたからいいんだけど……」
寺本は、苦笑いしながら言った。