お前がいる場所が、好き。Ⅰ
「ありがとう! それで、今日か明日は予定とかあるかな?」
明日は塾に行く予定だけど、今日は特に何の予定もない。
「明日は塾だから無理だけど、今日なら空いてるよ」
「じゃあ今日、一緒に桜花の家に行ってほしいんだ。いい? 案内するから、待ち合わせは学校の近くっていうことでさ」
それなら全然大丈夫だ。わたしは、そのことに関して頷こうとしたけれど、あることに気がついた。
「分かった! ……とはいっても、桜花ちゃんを守るために、わたしは何をすればいいの?」
守る、といってもわたしは一体何をやればいいのか全く分からない。
あの時川野くんと遭遇した時だって、わたしは彼が桜花ちゃんに近づかないようにするために必死に色々と言うしかなかったし、寺本が来てくれたから、彼女は助かったのだと思う。
「そんなに大変なことじゃないから、安心して」
大変なことじゃないにしても、本当に何すればいいか分からないんですけど。
というか、わたしがいて何か役に立つことってあるのだろうか。
「じゃあ今日は、桜花の家に行くために放課後、家に帰った後すぐまた学校に戻ることにみたいになるけど、大丈夫ね?」
「うん、大丈夫。分かったよ」
まあでも、1人で桜花ちゃんを守るために彼女の親友である知世ちゃんがいるなら安心だ。
わたしはそう思って、頷きながら言った。