お前がいる場所が、好き。Ⅰ
わたしは、知世ちゃんの行く方向を後からついていった。
わたしが知らない家ばかりで、全然分からないけれど知世ちゃんがいるなら安心できる。
「ここが寺本くんの家だね……」
そう言って、足を止めた彼女。
顔を上げて、近くにあった家の札を見ると確かに『寺本』と書かれてある。
「知ってたんだ……」
「桜花と寺本くん、よく一緒にいたからさ。だから3人でいる時も時々あったから、それで分かったんだ」
「そうだったんだ……」
色々と川野くんや寺本のことを桜花ちゃんも知世ちゃんも知っているので、わたしの方にもたくさん情報が来て助かる。
「あ、ちょうどいい。カーテンが開いてるから、見てみよ」
知世ちゃんが、寺本の家の窓を見ながらそう言った。
確かにカーテンが開いていて、家の中がよく見える。
わたしと知世ちゃんは、ゆっくりと近づいて見ることにした。