お前がいる場所が、好き。Ⅰ
わたしは今日も知世ちゃんと一緒に桜花ちゃんの家に行った。奈緒が出した提案を彼女に伝えるのはやっぱり気の毒だったけれど、桜花ちゃんが元気になるなら言ったほうがいい。
「桜花ちゃん、もう川野くんに会いたくないでしょ?」
わたしが聞くと、桜花ちゃんは小さく頷いた。
「じゃあ尚更、外に出よう!」
「嫌だ、次は何されるのか分からないよ! 怖いよ、二度と会いたくない!」
桜花ちゃんは、震えながら叫んだ。わたしの話を彼女と一緒に聞いていた知世ちゃんも相当驚いている。
「次で最後にしよう?」
「嫌だ!」
また、声を震わせながら叫ぶ桜花ちゃん。
怖いよね。また暴力を振るわれるんじゃないか、と不安なんだよね。
「ずっと引きこもったままにするより、もう1回だけ会って、自分の気持ちを伝えたほうがいいかもしれないよ」
「そうだね、あたしも沙織ちゃんの言う通りだと思う」
知世ちゃんは、大きく頷いた。
「何で!? わたし、もう修二くんの顔も見たくないし、声だって聞きたくない! それだけで、まるで地獄に落ちたような気分だもん……」
「それで、いつまでも怯えて家に閉じこもってばかりいるの!? そんなことじゃ、いつまで経っても解決はしないでしょ!?」
知世ちゃんは、少し厳しい顔をして言った。