お前がいる場所が、好き。Ⅰ
ホームルームが終わり、バッグを持ったわたしは桜花ちゃんと知世ちゃんの教室へ行った。
見ると、彼女らの教室もちょうどホームルームを終えたところのようだ。
「ところで、川野くんとはどうやって会うの?」
会う方法が何も分からないわたしは、バッグを持って廊下に出てきた2人に聞いた。
わたし達は、川野くんが通っている学校がどこにあるのか分からない。なんの情報もなく、どうやって彼に会えばいいのだろう。
「川野のことだから、またここら辺でうろちょろしてると思うよ。桜花がどんなに逃げても、あいつは絶対追いかけてくるような人だったから」
知世ちゃんは、さらりと答えた。
確かに、彼は桜花ちゃんがデートをキャンセルしようとした時も絶対させなかったと聞いたし、この間再会した時だって彼女に手を差し伸べたりと、どんな方法でも桜花ちゃんを自分のものにしようとしていた。
学校を出て、わたし達は近く見回しながら彼と会った場所へ向かった。
ふと目を凝らしてみると、明らかにわたし達とは違うバッグを持った学生の姿が見えた。
学ランを着ているし、間違いない。彼が、川野くんだ。
「ほら、やっぱりね」
計画通り、という風に知世ちゃんは薄く笑った後、川野くんの方へ堂々と歩いて行った。
彼女が数十歩歩いたところで、わたしと桜花ちゃんも小走りでついて行った。