お前がいる場所が、好き。Ⅰ
「桜花……!」
わたし達の足音に気がついたのか、川野くんは振り向いては信じられないものを見たかのように目を大きく見開いて、固まっている。
彼は、まさか桜花ちゃんが自分から会いに来るだなんて思ってもいなかっただろうな。それに、彼女とはしばらく会っていなかったんだから、まあ驚くだろう。
「今日も来てたんだね、川野」
桜花ちゃんはまだ少し怯えていることが顔に出ているけれど、知世ちゃんは彼に冷たい視線を送っている。
「あんたは……。そうだ、桜花の友達の、堤か」
知世ちゃんも、一応川野くんとは顔見知りだったのか。
「そして、やっぱり今日もあんたは一緒なんだな」
桜花ちゃんに会うんだったら、わたしも一緒にいるということは予想していたように、彼はわたしの顔を見て言った。
まあ、わたしが前に桜花ちゃんと一緒にいたから、別にいてもおかしくはない。
「修二、くん……」
わたしの隣で聞こえた、川野くんを呼ぶ桜花ちゃんの声。
「なんで、ここに来てるの?」
少し冷たい声で、桜花ちゃんは自分の元カレに聞いた。
「わたしとあんたは、もう赤の他人だよ」
元カノの少し冷たい態度に、川野くんは少し驚いている。