お前がいる場所が、好き。Ⅰ
ふと目に入ったのは、色々な味のミニドーナツの箱だった。いちご、チョコレート、プレーン、抹茶などと沢山ある。
「これ、どうかな?」
わたしは、ドーナツの箱を指差した。
「ああ、いいね! じゃあ、あたしはチョコ味のドーナツにしようっと。彼、チョコレート大好きだから」
そう言って奈緒は、チョコレート味のドーナツの箱を取った。
「それは、喜ぶね! 寺本の好みとか、分かんないから、一応わたしはプレーン! わたしもプレーンドーナツは好きだし」
わたしも、プレーンのミニドーナツの箱み手を伸ばした。
「じゃあ、一緒にレジに行こっか!」
「そうだね!」
奈緒と一緒に、こんな風に買い物をするのは久しぶりだな。ショッピングでは、美咲も一緒だから、少し寂しい感じはあるけれど。
「本当に喜んでくれるかな……」
会計を済ませて、奈緒が言った。
「彼はチョコレートが好きなんでしょ? 喜ばない訳ないよ! わたしなんか、寺本達の好きなもの分からないでプレーンドーナツ買ったんだよ? こっちの方が心配」
わたしは、奈緒の肩をぽんと叩いて言った。
「大丈夫! きっと小さい子達は、ドーナツ食べてくれるよ!」
「だと、いいんだけどね」
わたしは、まだ心配しているなのか安心したのか、自分でもよく分からない表情で言った。
「沙織、一緒に考えてくれてありがとう! じゃあね!」
「うん、またねー!」
店を出て、わたし達は別れた。
ドーナツも買ったことだし、みんなも待ってくれているだろうし、湖の場所に早く行こう。