お前がいる場所が、好き。Ⅰ

「あっ、さおりちゃん!」



湖で遊んでいる、寺本の弟妹が戻ってきた。



「こんにちは!」



「こんにちはー!」



わたしがこんにちは、と挨拶したら返す。本当にいい子達だな。
わたしがミニドーナツを買ってきたことを言うと、可愛い顔で笑ってくれる。



「さおりちゃん、ドーナツありがとう!」



「どういたしまして」



こんなに喜んでくれるなんて、喜びを抑えることが出来ない。
嬉しすぎて、わたしがお礼を言いたいくらいだ。


それに至って寺本は、笑うことなく黙ってドーナツを食べている。
わたしがじっと彼を見ていると、それに気づいて寺本は顔をさっと赤く染めた。



「ちょっ……。あんまじろじろ見るなよ? 俺、食べ方綺麗じゃねえからさ……。つか、なんで見るんだ?」



恥ずかしがって可愛くなった寺本を見て、わたしはふふっと笑いをこぼした。



「喜んでくれたかなーって思ってさ」



「よ、喜ぶとかそういうの、わざわざ確認しなくていいだろ? 食ってるっつーの」



照れているのが丸わかりだ。なんで寺本は、こんなに可愛いんだろう。こんなに可愛い男子は、今まで見たことがない。




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