お前がいる場所が、好き。Ⅰ

夜ご飯を食べた後、わたしは部屋に戻って塾の宿題は全部出来ているか確認した。



「えーっと。数学の宿題は、何ページまでだっけ」



「13ページの……。あっ」



最後の問題が、まだ空欄のままだ。今、やっておこう。


難しい。


もしこれ以上考えても分からなかったら、今度奈緒に教えてもらうことにしよう。


奈緒は、勉強の中でも数学が特に良くできていて、何度も数検は合格している。



「ふゎーあ」



考えすぎたら、眠くなってあくびが出てきた。時計を見ると、いつもの就寝時間は、まだまだなのに。


ふとドアをノックする音がした後、



「沙織、入るわよ」



と、お母さんの声が聞こえた。



「夜ご飯で、お茶、全然飲んでいなかったから、持ってきたんだけど。今も喉乾いてない?」



そういえば、確かに飲んでいなかったな。眠気覚ましには、いいかもしれない。



「ううん、そんなことないよ! 今、眠くなってきたから、ちょうどいいや。ありがと、お母さん」



わたしは、そう言って、お母さんからお茶を受け取った。




< 31 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop