お前がいる場所が、好き。Ⅰ
夜ご飯を食べた後、わたしは部屋に戻って塾の宿題は全部出来ているか確認した。
「えーっと。数学の宿題は、何ページまでだっけ」
「13ページの……。あっ」
最後の問題が、まだ空欄のままだ。今、やっておこう。
難しい。
もしこれ以上考えても分からなかったら、今度奈緒に教えてもらうことにしよう。
奈緒は、勉強の中でも数学が特に良くできていて、何度も数検は合格している。
「ふゎーあ」
考えすぎたら、眠くなってあくびが出てきた。時計を見ると、いつもの就寝時間は、まだまだなのに。
ふとドアをノックする音がした後、
「沙織、入るわよ」
と、お母さんの声が聞こえた。
「夜ご飯で、お茶、全然飲んでいなかったから、持ってきたんだけど。今も喉乾いてない?」
そういえば、確かに飲んでいなかったな。眠気覚ましには、いいかもしれない。
「ううん、そんなことないよ! 今、眠くなってきたから、ちょうどいいや。ありがと、お母さん」
わたしは、そう言って、お母さんからお茶を受け取った。