お前がいる場所が、好き。Ⅰ
翌日。わたしは、美咲と一緒に奈緒の家に行き、3人で勉強を始めることにした。
「奈緒、今日もよろしくね」
美咲が、紙を自分のファイルから出して言った。
「うん。あたしは先生じゃないから、そんなに詳しくは教えられないと思うけど」
「詳しく教えられてるよ! 奈緒のお陰で、わたしも美咲も勉強が出来るんだもん」
奈緒が自分を否定する言葉に、わたしは元気づけたくてそう言った。
「そうそう! 昨日、この問題やってたんだけど、全然分からなくて。いい?」
「うん。分かった! ちょっと待ってね。そこは……」
奈緒は、そう言いながら紙にヒントなどを書いてくれる。
「こんな感じは、どう?」
「あっ、うん! 分かりやすい! ありがとう、奈緒!」
わたしが言うと、奈緒は安心したように笑った。
「よかった。あたしも、ちょっと今のは不安だったからね」
「えっ、そうなの? ごめん、奈緒」
「いいの、いいの!」
奈緒は、なんでもないという風に言った。