お前がいる場所が、好き。Ⅰ
理科の授業が終わって、休み時間になった頃、わたしはいつもと変わりなく奈緒と美咲と一緒に話すことにした。
「もう、わたし最悪! 宿題のプリントであった問題、めっちゃ間違えたよ……」
美咲が、かなり悔しそうに嘆いている。
「美咲ったら、くじけないの!」
わたしは、苦笑いしながら美咲の肩を少し叩いてやった。
「勉強会で、その復習もやろっか」
「奈緒、おねがーい!」
美咲は、奈緒に向けて目をうるうるさせた。そんな美咲を見て、わたしも奈緒もしょうがないなぁ、と笑うけれど、彼女の大きな目が輝いているところを見ると可愛くて許してしまう。
奈緒は、美咲の頭を撫でてから、わたしの方を見た。
「沙織は? 大丈夫だった?」
「うーん、まぁね。家でちょっと見直そうかな、とは思ってる」
わたしは悪くも良くもない、というところだった。
間違ったところは、勿論ある。
「一応、今度どこら辺間違ったか、見せて」
「うん、分かった!」
奈緒は、本当に頼もしい。こんな感じだけど、彼女は自分が頭がいいことを鼻にかけないし、勉強の教え方だって分かりやすいのだ。