お前がいる場所が、好き。Ⅰ

「それにしても、奈緒って本当にすごいよね。どうしてそんなに頭いいの?」



美咲がまたうるうるとした目で、奈緒を見つめる。
そんな姿を見て奈緒は、ふふっと笑った。



「頭なんて、よくないよ。あたしだって、よく知り合いに教えてもらってるんだから」



「知り合い?」



奈緒が知り合いに勉強を教えてもらっているだなんて、初耳だ。


やっぱり頭のいい奈緒は、塾だけじゃなくて、他のところでも教えてもらっているのか。わたしと美咲も、奈緒に勉強を教えてもらっているというのに、この違いは何だろう。



「そう。ところで沙織は、どこら辺を間違えたの?」



「わたしは、最後の問題」



わたしは、どんな教科でも、絶対につまづくところがある。
奈緒にいつも、つまづいた場所を教えてもらっているけれど、どうしてもつまづく癖が治らない。



「あー、最後の問題ね! あたしも、そこは土曜日、知り合いに教えてもらってできた感じなのよ。解説は、その知り合いに言われた通りにしちゃうかも」



「いや、大丈夫! それにしても、その知り合いの人、すごいね! いくつぐらいなんだろう」



「20歳だよ」



20歳の人に勉強を教えてもらっているなんて。なんだか、奈緒の周りには学校の先生、塾の先生、そうしてもう1人勉強の先生がいるみたいだ。




< 39 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop