お前がいる場所が、好き。Ⅰ
いつのまにか眠ってしまったようだ。わたしは、布団から顔を出して壁にかかっている時計を見ると、帰ってきてからもう1時間以上経過している。
不意にドアが開いて、お母さんがわたしの方を見た。
「沙織、起きた?」
「ん……」
目をこすりながら、わたしは頷いた。
「昼寝しすぎも良くないし、そろそろ起きなさい」
「そうする」
わたしはそう言って、布団に入っていてあたたかくなった脚も出した。
「そういえば、沙織の携帯に不在着信が来てたわよ? お母さん、出られなかったんだけど」
「そうなの?」
「ええ。さっきリビングで掃除機をかけてたんだけど終わった後に、ここから音がしたから、来てみたんだけど電話がかかってたから。でも出ようとしたら、切れちゃったわ」
わたしは起き上がり、携帯を見ると、確かに不在着信が1件来ている。
誰からだろう。
見てみると、奈緒からだった。