お前がいる場所が、好き。Ⅰ
月曜日の放課後になった。わたしと奈緒は、学校で配られたプリントを持って、美咲の家に行った。
「ここだよね。青柳って書いてあるから」
表札には、『青柳』と書かれており、その下には『茂明(しげあき)、郁子(いくこ』と書かれてある。去年、美咲が送ってきた年賀状にも、この2人の名前が書かれてあった。
そうして、その名前の下には『美咲』と書かれてある。間違いない。美咲の名前の上に書かれた名前は、彼女のご両親の名前だ。
わたしは、その家のチャイムを鳴らした。数秒後に足音が聞こえて、ドアが開いた。
「美咲!」
ドアを開けた美咲は、白いパジャマを着ていて、顔色が悪かった。
その姿を見て、びっくりしたのか奈緒が少し大きな声を出した。
「沙織、奈緒……」
美咲は、いつもの可愛い声と違ってか細い。
「大丈夫? そんなパジャマ姿なら、無理して出てこなくても良かったのに」
「うん。てっきりお母さんが来ると思ったよ」
「お母さんは仕事。家に来たのが2人だって確認したんだ」
美咲は、か細い声のまま、話を続けた。