お前がいる場所が、好き。Ⅰ
「沙織と奈緒なら、わたしのパジャマ姿でも大丈夫かなって思ったんだけど、駄目だった?」
美咲のパジャマ姿なら、修学旅行などで見たことがある。それに彼女は、今日は病気なのだから、別に不自然ではない。
「いや、そんなことはないけど。美咲、安静にしておかないと」
無理して美咲を出したことが、悪く思えた。こういうパジャマ姿だと、美咲はベッドで寝ていたかもしれないし。
「ううん。折角2人が来てくれたんだもん。出ないと悪いから」
「は、はあ。あっ、美咲。これ、プリントね。先生が美咲に渡しておけって」
奈緒が持っていたファイルの中から、美咲に渡すプリントを取り出した。
「あっ……。ありがと」
美咲がプリントを受け取った。
「じゃあ、お大事にね。いつまでもここにいたら、身体が冷えちゃうから、ちゃんとあっためて寝るんだよ」
突然、奈緒が言ったので隣にいるわたしは少し驚いたけれど、このタイミングで別れるのは正しい気がする。
彼女が言っていることは、全部正論だし。
「そうだね。2人に熱が移ったらやばいから、今日はこの辺にしておこうか。ありがとね」
美咲がそう言った後、わたし達は手を振って行った。