お前がいる場所が、好き。Ⅰ
塾を出てから、少し歩き、奈緒と帰り道が別れた。
「じゃあね、奈緒」
「うん」
奈緒に手を振って別れてから、わたしは溜息を吐いた。
寺本の欠席といい、奈緒と風岡先生の話といい、なんだか今日は、いっぺんに分からないことばかり起きた。
本当に皆は、何をやっているんだろう。
美咲が、いつ治るかも分からないというのに、今こんなに分からないことだらけだと、わたしの頭の中で色々なことが回る。
「はぁー」
わたしは、また溜息を吐いた。
今日、1人で美咲の家に行ってみようかな。一応、まだ遅い時間にはなっていないし、美咲の家に行くくらいなら、お母さんもなんとも思わないだろう。
わたしは、美咲の家へと向かうことにした。