お前がいる場所が、好き。Ⅰ
翌日。わたしは、教室で自分の席に座りながら、ぼうっとしていると、ある女の子が目に入った。
二重まぶたの、くりっとした目に合う、2本のゆるい三つ編み。
彼女もわたしを見て、駆け寄ってきた。
「沙織、おはようっ」
彼女の、美咲の声は、もう少しもかすれていない。いつもの可愛い声に戻っている。
「美咲ー! 良かったぁ、元気になったんだね!」
「うん! すっかり良くなったよ!」
わたしと美咲は、手を取り合ってはしゃいだ。
それに気づいた奈緒も、読んでいた本に栞を挟んでから、
「美咲!」
と叫んで駆け寄った。
「あっ! 奈緒、奈緒! 会いたかったー!」
美咲は、奈緒に飛びついた。
今まで学校も塾も休んでいたのだから、美咲は、わたしや奈緒よりも嬉しそう。
「ってことは、次からまた塾に行けるのね?」
「うん! また一緒にいられるよ!」
「やったー!」
わたしの声が、今、どれくらい高くて大きいのか、自分でも分かっていた。
もう少し高くて大きな声だったら、猿みたくなるところだった。