お前がいる場所が、好き。Ⅰ

電車から降りて、わたし達は駅も出た。



「美咲、なんかしたいことある?」



奈緒が聞いた。
確かに美咲は、熱を出してあまり自由になれなかったから、今日は彼女はしたいことを思い切りしたい。


きっと奈緒もそういう思いで、商店街に行く提案を出したんだ。



「したいこと? そうねぇ……お菓子を食べたいな!」



「お菓子!? なら、あそこにクレープ屋さんがあるよ、食べよう!」



わたしは、言いながらクレープ屋さんを指差すと美咲も目を輝かせた。



「クレープ? 食べる食べる!」



わたし達は、そのクレープ屋さんに並んだ。
3人の中では、わたしが1番最初にクレープを選んだ。ホイップクリームとバナナとアイスクリームが入ったので、わたしの1番好きな具である。



「沙織、ホイップクリームがついてるよ」



奈緒に言われて、わたしはクレープを落とさないようにポケットからハンカチを出して拭いた。



「奈緒のクレープ、すごい沢山チョコレート入ってるね」



奈緒のクレープは、ブラウニーとホイップクリームが入った物で、チョコレートシロップがたっぷりかかっている。



「奈緒はチョコ好きだもんね」



美咲は、クレープの中のイチゴを食べながら言った。




< 63 / 198 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop