お前がいる場所が、好き。Ⅰ
電車から降りて、わたし達は駅も出た。
「美咲、なんかしたいことある?」
奈緒が聞いた。
確かに美咲は、熱を出してあまり自由になれなかったから、今日は彼女はしたいことを思い切りしたい。
きっと奈緒もそういう思いで、商店街に行く提案を出したんだ。
「したいこと? そうねぇ……お菓子を食べたいな!」
「お菓子!? なら、あそこにクレープ屋さんがあるよ、食べよう!」
わたしは、言いながらクレープ屋さんを指差すと美咲も目を輝かせた。
「クレープ? 食べる食べる!」
わたし達は、そのクレープ屋さんに並んだ。
3人の中では、わたしが1番最初にクレープを選んだ。ホイップクリームとバナナとアイスクリームが入ったので、わたしの1番好きな具である。
「沙織、ホイップクリームがついてるよ」
奈緒に言われて、わたしはクレープを落とさないようにポケットからハンカチを出して拭いた。
「奈緒のクレープ、すごい沢山チョコレート入ってるね」
奈緒のクレープは、ブラウニーとホイップクリームが入った物で、チョコレートシロップがたっぷりかかっている。
「奈緒はチョコ好きだもんね」
美咲は、クレープの中のイチゴを食べながら言った。