お前がいる場所が、好き。Ⅰ
「でも美味しいよね、ここのクレープ」
美咲が満面の笑みで言った。
イチゴとブルーベリーとホイップクリームが入ったクレープ。
甘酸っぱくて美味しそうだ。
「今度、みんなでクレープ作ってみるのも、ありかもね?」
「いいかもー!」
わたしは、バナナを飲み込んでから言った。
「んー。みんなで作るのもいいかもだけど、結構大変な気がするんだよね」
「美咲、料理あんまり好きじゃないもんね」
女の子らしくて可愛い見た目とは、裏腹に美咲は料理が苦手なのだ。
これを知った時には、本当にびっくりした。
美咲は、モデルのように可愛い顔をしていて、肌も綺麗で、三つ編みも子供っぽすぎない、ゆるく結んでいるところも、おしゃれだな、とずっと思っていた。
それに、持ち物も女の子らしくて可愛いデザインばかり。
ピンクのうさぎ柄の筆箱や、明るい花柄のメモ帳、水色の星柄の財布など。そういう物を持った美咲は、クラス全員から女子力の高いと思われるのも普通だった。