お前がいる場所が、好き。Ⅰ
だから、わたし3人揃って料理なんて、一度もしたことがない。
「あっ! これ、可愛いな」
美咲が、カラフルで可愛いお店の窓越しに見えている、黄色いクマのぬいぐるみを指さして言った。
黄色いクマのぬいぐるみは、大きい物と小さい物が寄り添っていて、まるで親子みたいだ。
「ねえ、沙織、奈緒! 可愛い物が売ってそうだから、ちょっと覗いてみよう!」
「はいはい」
わたし達は、そのカラフルで可愛いお店の中へと入った。
「さっきのぬいぐるみの値段は……。あっ」
黄色いクマのぬいぐるみを見つけた美咲の顔は、さっきと真逆だ。真っ青になっている。
「ん? どうしたの?」
「あ……。大きい方が14000円で小さい方が7000円だって。こりゃ高いね」
値段を見た、奈緒が苦笑いした。
両方買うとなると、21000円となる。アルバイトをしていない高校生がとても買える値段じゃない。
「うぅーっ! 欲しかったよぉ」
美咲が唸った。
ぬいぐるみは、どちらも綺麗な黄色をしていて、丸いつぶらな瞳で、頭についた花の髪飾りがよく似合っている。
可愛い物好きの美咲が、唸るのも無理がないことだな。