お前がいる場所が、好き。Ⅰ
「何か、他に買える可愛い物があるといいんだけどねぇ」
奈緒が腕を組みながら言った。
わたしも美咲を喜ばせるために、良い物がないか見回した。
「あっ、これ3人でお揃いにする?」
わたしは縫い付けられたように、回っていた身体が止まった。
「ハンカチだ! いいね!」
わたしが見つけたところには、小花模様の色違いのハンカチが売られてあった。
「これ3人でお揃いにしたら、いいんじゃない?」
わたしは、手を伸ばして水色のハンカチを取った。
「あたしは……。赤にしようかな」
奈緒は、赤くて大人っぽいハンカチを取った。わたしが取った水色のハンカチの隣の隣だ。
「じゃあ、わたしは黄色!」
「もしかして美咲、さっきのクマのぬいぐるみが黄色だったから、仕方なく黄色いハンカチで我慢ってこと?」
「もう、それを言わないでよー」
奈緒に言われて、嬉しい気持ちが台無しじゃん、と言いたげに美咲は奈緒の方を見た。
わたし達は、ハンカチを買って、色々と話したりしているうちに時間が過ぎてしまった。
「よし、そろそろ帰ろっか」
「そうだね!」
奈緒の言葉に、わたしと美咲が頷いて駅の方へと向かった。