お前がいる場所が、好き。Ⅰ

帰宅して、わたしは自分の部屋の椅子に座って背伸びをした。


寺本とは、あまり話したことがないので、結構嬉しかった。
それにしても、彼があんなに恥ずかしがったり怒ったりするなんて思いもしなかった。
本当に可愛かった。


そう考えている最中に、わたしの携帯から着信音が流れた。
同じ塾に通っている、美咲からだった。



「もしもし?」



『あっ、沙織ー。次の塾って、何時からか、覚えてる?』



わたしと奈緒と美咲は、ずっと同じ日に塾に通っている。


わたしは、そばにあった小さなカレンダーを確認した。次に塾というのは、日曜の塾のことだろう。日曜の塾は、4時から5時半と書かれてある。



「4時からだよ」



『ありがとう、沙織! じゃあね!』



その言葉の3秒後に、電話はぷつりと切れた。切るのが早いな。少し無駄話をしても、悪くなかったのに。




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