お前がいる場所が、好き。Ⅰ
2日が経ち、わたしは桜花ちゃんと待ち合わせしている湖の近くまで来た。
桜花ちゃんは、まだ来ていないのか姿が見えない。
「沙織ちゃん」
後ろから声をかけられて、わたしの身体が一瞬飛び上がった。
そこには、案の定桜花ちゃんが立っていた。
「うわっ! びっくりしたぁ。いつからそこに?」
「今、来たとこよ」
いつものように、桜花ちゃんは桃色の頰の頰をしていて、綺麗な唇は綺麗に弧を描いている。
「そ、そうなんだ。それで、話って?」
「沙織ちゃん。どうして、塾の体験に行ってくれなかったの?」
笑顔で淡々と質問する桜花ちゃん。
「ごめんね? 友達が沙織ちゃんを見なかったっていうから、行かなかったのかなって」
「え? その友達、わたしを知ってるの?」
桜花ちゃんの言っていることが理解できなくて、わたしは瞬きしかできなくなった。
「うん。沙織ちゃんの特徴を話しておいたの。茶色いセミロングヘアで、綺麗な一重の目で、ふっくらした唇をした子だよって」
そんなに細かくわたしの特徴を話したのか。
なんだか恥ずかしい。