お前がいる場所が、好き。Ⅰ

食欲がなかったけれど、11時頃になってようやく出てきた。



『お腹が空いた時に、食べなさい』



食堂へ行くと、テーブルの上にお母さんが書いた置き手紙と、おかゆの素とカスタードプリンがあった。


そういえば、小さい頃にいつも具合が悪くなった時に、プリンを食べたがっていたっけ。


最近は、熱を出すことがあまりなかったのに、それを覚えているなんて、さすがお母さんだ。


身体を冷やしちゃいけないことくらい分かっているけれど、窓を開けないと風が通らない。


わたしは、窓を開けて空を見上げた。


水色の空には、太陽の光を受けているまばゆい白い雲や灰色っぽい雲。


学校のみんなも今頃、お腹が空いているだろうな。


奈緒と美咲は、今、何を考えているんだろう。


いきなり学校を休んで、2人に心配をさせているだろうな。
これ以上心配させないために、早く体調をバッチリにしないとね。


わたしは、おかゆをオーブンに入れた。




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