お前がいる場所が、好き。Ⅰ
夕方になると、呼び鈴が鳴った。
ドアスコープを見ると、奈緒と美咲が立っているのが見えた。
今、パジャマ姿だけど2人なら平気か。
わたしは表玄関のドアを開けた。
「沙織ー、お見舞いに来たよ!」
「大丈夫? まさか、わたしの移しちゃった?」
美咲は前に熱を出していたけれど、それが移った割には遅い。しかも少しの間しか一緒じゃなかったから、どんだけ美咲はひどい体調だったの、とわたしは言いたくなった。
「違うの! あの、聞いてくれる?」
「いいよ、なんでも言って?」
わたしは、2人に桜花ちゃんのことを全て話した。
「えぇっ!?」
わたしが湖に落とされたことを話すと、2人は驚愕した。
「なんなの、それ!」
「ひどいよ、栗原さん」
「なるほどね、栗原さんが沙織に何かしてくるとは思っていたけど、そんな……」
今さっきまで驚愕していた奈緒は、腕を組んで静かな声を出している。
「出来ることなら、こらしめてやりたいよ」
美咲は可愛い目を吊り上げながら言った。
「いやいや、そんなことしなくていいよ」
桜花ちゃんだって、別に意気悪な気持ちでやった訳じゃない。それに人気の彼女だから、こらしめに行ったら、男子には変な目で見られるだろう。