お前がいる場所が、好き。Ⅰ
でも、美咲は納得しないようで、
「とは言っても栗原さんのせいで、沙織が熱を出したっていうのは確かでしょう?」
と怒ってる。
「とにかく落ち着いて。栗原さんは、沙織にまだ何かしてくる可能性は、あるから。沙織は、栗原さんに近づかない方がいいかもね」
美咲を冷静にさせながら、奈緒が言った。
「う、うん。……はっくしょん!」
またくしゃみが出ては、鼻水もずるずると出た。
熱だからしょうがないけれど、2人の前でこんなに鼻水を出すなんて。
あー、恥ずかしい。
「大丈夫?」
美咲が、ピンク色の小さなケースをポケットから出して、ティッシュをわたしにくれた。
「ありがとう、美咲」
わたしは、美咲がくれたティッシュで鼻をかんだ。
「じゃあ、あたし達これで帰る。沙織、お大事にね」
「うん、ありがと」
わたしは、2人を見送ってからまたベッドに行った。