翔ける想いと×ふたり

視界の奥の方に見える一台の白いアルファード。
久しぶりに会うその友達は、芹沢寛太(当時22歳)

後ろのドアを開けるとすぐに、「おーう久しぶり」とテンション高く声をかけてくれた。
以前会ってた時と変わらない、茶髪のパーマにピアス。
仕事帰りでそのまま来たのか、地味な色のニッカを履いていた。

その時、いつもガラ空きの助手席に人がいる気配が。
薄暗い中よく見ても、やっぱり人がいる。

だ、誰…


「寛太相変わらずだね〜!えっと…この人は?」

私が乗った後もずっと無言で、挨拶もない。
パーカーのフードを被っていてよく見えないし、誰か連れてくるなら一言言ってよ…と緊張が走る。

「あ〜こいつね!翔ちゃん!俺と現場一緒の一個下!」

「……あ、どもっす…」

寛太が目を輝かせて紹介してきた彼は、テンションの高いこいつとは逆に、小さい声でテンションも低い挨拶。
フードで顔もよく見えないし。
連れてきちゃったならしょうがないけど、最初はなんだか仲良くなれる気がしなかった。
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