小さなパン屋の恋物語◆続編完結しました◆
河原ではたくさんのカップルが等間隔に座っていた。
二人も空いている場所を見つけて腰を下ろす。
天気は晴れ。
時折心地よい風が吹き抜けていく。

先ほど購入したパンとカフェオレを頬張ると、雄大が言う。

「うまい。でもやっぱり琴葉のパンが一番だなぁ。」

「ほんと?ありがとう。」

褒められて、琴葉はむず痒い気持ちになった。
雄大と旅行に来れたこと、いつも気遣ってくれること、嬉しいこの気持ちを“嬉しい”という表現では物足りないくらい感じて、それを伝えたいのに上手い言葉が見つからない。

じっと雄大を見つめると、ぐいっと引き寄せられ頬にキスを落としてくる。

「ちょっ、雄くん。こんなところでっ。」

「琴葉が上目遣いで見てくるから。」

「えっ、ええ~!?」

「可愛くて、つい。」

そう言って、雄大は悪びれる様子もなく優しく笑う。
そういう仕草や表情ひとつひとつに、琴葉はまたときめいてしまって、ドキドキを抑えるので精一杯だ。
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