小さなパン屋の恋物語◆続編完結しました◆
会社に着くと、今度は杏奈の出迎えが待っていた。
「雄大お疲れ様。社長が話があるって。」
そう言いながら腕を絡ませてくる杏奈に、雄大は心底嫌な顔をして振りほどく。
「やめろ。」
「さ、行きましょ。」
雄大の冷ややかな声を軽く受け流し、杏奈は先導を切って社長室へ向かう。
雄大のイライラは募るばかりだ。
ただでさえ琴葉と連絡が取れていないのに、帰国して強制連行されるかの如く会社に連れてこられた。
確かに、今回の海外案件を社長へ報告しなくてはいけないが、逐一メールで状況は報告していたので急ぐ必要は感じられない。
杏奈が社長室の扉を開けようとして、雄大ははたと気付く。
「杏奈、ついてくるなよ。」
「あら、私も呼ばれてるのよ。」
杏奈も呼ばれていることに不思議に思いながらも社長室へ入り、改めて今回の案件について報告をした。
その間、杏奈は雄大の隣でにこやかに話を聞いているだけだ。
そんな状況に、雄大は居心地が悪くてたまらなかった。
一通り話が終わると、「ところで…」と社長が話し出す。
「三浦建設から業務提携の話が出たんだが、私は悪くない話だと思っている。」
「三浦建設?」
雄大はちらりと杏奈を見る。
三浦建設は、杏奈の実家にあたる会社だ。
杏奈は雄大に、肯定の意味で首を縦に振った。
「そこでだ、この機にお前たちも結婚したらどうだ?結婚すれば更に繋がりが深くなる。お前たちももういい年だし、付き合って長いんだろう?」
社長の言葉に、だから杏奈も呼ばれたのかと雄大はやっと理解した。
確かに学生の頃は雄大と杏奈は付き合っていた。
きちんと親に紹介はしていないが、同級生から同僚へ変わりそして同じプロジェクトで仕事をする中でそんなニュアンスをにおわすことがあったのは事実だ。
だが、杏奈とのことは雄大の中ではとっくに終わったことなのだ。
杏奈とは仕事で顔を付き合わせる以外何もない。
それは杏奈も十分承知のはずだ。
だが杏奈は、一歩前に出て答える。
「はい、学生の頃からです。」
「待て杏奈、俺たちは付き合っていない。何回言ったらわかるんだ。」
雄大が声を上げるも、杏奈は「何を言っているの?」と余裕の笑みを見せながら反論した。
「雄大お疲れ様。社長が話があるって。」
そう言いながら腕を絡ませてくる杏奈に、雄大は心底嫌な顔をして振りほどく。
「やめろ。」
「さ、行きましょ。」
雄大の冷ややかな声を軽く受け流し、杏奈は先導を切って社長室へ向かう。
雄大のイライラは募るばかりだ。
ただでさえ琴葉と連絡が取れていないのに、帰国して強制連行されるかの如く会社に連れてこられた。
確かに、今回の海外案件を社長へ報告しなくてはいけないが、逐一メールで状況は報告していたので急ぐ必要は感じられない。
杏奈が社長室の扉を開けようとして、雄大ははたと気付く。
「杏奈、ついてくるなよ。」
「あら、私も呼ばれてるのよ。」
杏奈も呼ばれていることに不思議に思いながらも社長室へ入り、改めて今回の案件について報告をした。
その間、杏奈は雄大の隣でにこやかに話を聞いているだけだ。
そんな状況に、雄大は居心地が悪くてたまらなかった。
一通り話が終わると、「ところで…」と社長が話し出す。
「三浦建設から業務提携の話が出たんだが、私は悪くない話だと思っている。」
「三浦建設?」
雄大はちらりと杏奈を見る。
三浦建設は、杏奈の実家にあたる会社だ。
杏奈は雄大に、肯定の意味で首を縦に振った。
「そこでだ、この機にお前たちも結婚したらどうだ?結婚すれば更に繋がりが深くなる。お前たちももういい年だし、付き合って長いんだろう?」
社長の言葉に、だから杏奈も呼ばれたのかと雄大はやっと理解した。
確かに学生の頃は雄大と杏奈は付き合っていた。
きちんと親に紹介はしていないが、同級生から同僚へ変わりそして同じプロジェクトで仕事をする中でそんなニュアンスをにおわすことがあったのは事実だ。
だが、杏奈とのことは雄大の中ではとっくに終わったことなのだ。
杏奈とは仕事で顔を付き合わせる以外何もない。
それは杏奈も十分承知のはずだ。
だが杏奈は、一歩前に出て答える。
「はい、学生の頃からです。」
「待て杏奈、俺たちは付き合っていない。何回言ったらわかるんだ。」
雄大が声を上げるも、杏奈は「何を言っているの?」と余裕の笑みを見せながら反論した。