小さなパン屋の恋物語◆続編完結しました◆
今まで琴葉は自分の働き方について考えたことは、まったくと言っていいほどなかった。

確かに、外のパン屋で働いたときパン屋自体は無休だったが、琴葉は週休二日だったし有給休暇もあった。
休憩もしっかり取れたし連休もあった。

じゃあ今はどうなのか。

最低限の休憩と、最低限の休暇。
琴葉ひとりで店を切り盛りするのに、そんなことを考えて働いてはいない。
そもそも、両親が亡くなってからその悲しさを埋めるために、ただがむしゃらに突き進んできただけだからだ。

だけど、その生活はガラリと一変した。

雄大のいる生活。
雄大と過ごす毎日。
琴葉にとってそれはすごく幸せで、大切にしたいと思っていることだ。

いつしか、minamiを続けることはもちろんだが、それに加えて雄大のためにもいろいろしてあげたいと思うようになっていた。
好きな人に尽くしたいと思うのは、人間の性だろうか。
そのためにはやはり時間が足りない。

働き方改革。

琴葉はまだ何も答えが出ていない。
それどころか、案すらまだ思いついていなかった。
minamiを縮小するということはどういうことなのか、さっぱりわからない。

悶々とした気持ちのまま月日は過ぎた。
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