37.5℃ ~君に恋をしている~
「キレイにしてんだね」

泉くんが私の部屋を見回して言った。

「そうかな?」

平常心で答えてはいるけど、内心は泉くんが自分の部屋にいることにドキドキしていた。

「いきたり来ちゃってほんと良かった?お母さんに怒られない?」

「お母さんはまだ仕事だと思うから」

「それって余計ダメな気がする」

「え」

「一応、俺って男だし」

「あ、そ、そうだよね」


確かにこの状況でお母さんが帰って来たら色々勘違いされそう。
でもあのまま泉くんを家に帰したくない。
新しいお母さんがいる家で暮らす泉くんを想像したら、とても悲しくなってしまったんだから。

私に出来ることあれば協力したい……。

今はこうして少しの間だけ一緒にいることしか出来ないけど。


沈黙が続いて、テレビの音だけが鳴っていた。
泉くんに話したいこと聞きたいことはいっぱいある。

「あのさ」

私は長い沈黙を破った。

「ん?」


「泉くんって山下さんとどんな関係なの?」

「んーどんなかな。友達っぽいけど」

「ぽい?」

「俺は少なくともそう思ってる」

山下さんは絶対に友達以上になりたいと思っているのだろうけど、その辺のことは微妙に勘付いてるのかな。

「今日、一緒にカラオケ行くって教室で話してなかったっけ?」

「あーそれ。今日行くと山下から告白されるって聞いたから断ったんだ」

「え、告白……?」

「やっぱ今のままでいたいから。俺って友達少ないからさ。また減ると悲しい……」







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