あまい・甘い・あま~い香りに誘われて
体の熱もひき、気持ちが落ち着きトイレからでると、トイレの脇で困った顔をした虎太朗が待っていた。

「葵、ごめん。」
目があうなり深く頭を下げた。

「自分の気持ちばかり押し付けて、葵の気持ち無視して突っ走って、葵を傷つけた。本当にごめん。」

私は恥ずかしくてうつむいたまま小さく頭をふる。

「…嫌われたよな、、、ごめん。」

立ち去ろうとした虎太朗の背中に、私は自分から抱きついた。

「虎太朗……嫌ってないから…突然でびっくりしただけだから。私虎太朗が…」

虎太朗が手を引いて私の正面にまわる。

「背中に向かってじゃなく、俺の顔見ていってくれる?
俺がずっと待ってる言葉聞けそうだから」 
虎太朗が嬉しそうに微笑んだ。

私の顔がみるみる赤くなるのがわかる。

虎太朗のイケメンスマイルは反則だよ。

「ずるい…その顔…反則。」

押し黙った私に虎太朗はくつくつ笑うと
いつもの言葉をささやく。

「俺のこと早く好きになれよ葵。
葵、大好きだよ。

葵…   俺のこと好き?」

私の言葉を優しく促す虎太朗。
「…好き。虎太朗が私も好き。」

「やっと聞けた」
虎太朗の顔を見上げると、今までに見たこともないくらい嬉しそうな満面の笑みを浮かべていた。
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