あまい・甘い・あま~い香りに誘われて
そしていよいよフラダンスショーの時間になった。

付け睫をつけ、紅い口紅をさす。
前髪はポンパドール、長い髪は昨夜から三つ編みしていた三つ編みをとき、クセをつけたウェーブヘアーのハーフアップ。
ワンショルダーの肩がでる濃紺のビロードの衣装を着て髪には大きな黄色いユリの花をつけシェルレイを首にかける。

いつのまにか、満席で立ち見の人たちまでいて、教室の入り口にはアロハにハットをおしゃれに着こなす虎太朗が目を細めて私を見つめていた。

ゆっくり曲が流れだし、私は満面の笑みを浮かべ踊り出す。

静まりかえった教室、みんな、身動きひとつせずに私を見つめていた。

曲が終わると割れんばかりの拍手に包まれた。

虎太朗をチラリと見ると、ハットで少し赤くなった顔を隠しながら、最後まで教室の後ろで私を優しく見つめてくれていた。
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