あまい・甘い・あま~い香りに誘われて
文化祭二日目。

私たちのハワイアンカフェは昨日に続き大盛況で、父兄も大勢訪れ、私たちのフラダンスも大好評だった。

こっちゃんママも再婚した虎太朗の新しいお父さんと来てくれて、衣装を着たままご挨拶してちょっと緊張した。

「初めまして。河野葵です」

「こんにちは。初めまして。凄く素敵なフラダンスだったよ。噂のあおちゃんに、ずっと会いたかったんだ。想像以上に可愛くて素敵なお嬢さんだね」

血の繋がった親子ではないけれど、お父さんは虎太朗によくにた笑顔を私にむけた。

「…おやじ!余計なこと言うなよ!」
「?」
「なんだよ虎太朗余計なことって。
たとえば…
俺が校長と知り合いで頼みこんで同じクラスの隣の席にしてもらったこととか?
どうしても高校生活は葵と過ごすんだって虎太朗が転校させろってごねたこととかか?」
クツクツ笑う姿は虎太朗そのものだ。

というより、お父さんの言葉に私は目が点になった。

どういうこと…? 

私たちの再会は偶然じゃなくて、必然だったってこと?

隣の虎太朗を見上げるとかぶっていたハットで顔を隠し、私に背を向けてしまった。
< 36 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop