天空に一番近い蒼─好きになった人は腰掛け体育教師でした
プロローグ



「そこで何やってる…?」




 そう。

 初めは天使だと思ったんだ。

 屋上に天使が舞い降りた、と。



 否、そんなわけはない。



 眼を凝らすとそれは、雲の切れ間から覗く蒼い空をバックに、フェンスの向こうで宙に脚を投げ出し座る女生徒だった。



 4階建ての校舎の屋上は今年2度目の春の嵐が吹き荒ぶ。

 一歩間違えば彼女は…




「俺で良けりゃ話聞くからさ、戻ってこいよ」




 あの日この屋上で君と出逢った。

 きっとあの瞬間から、お互いの運命の歯車がかちりと合っていて。

 そしてそれは、何処までも続く蒼い蒼い空へと羽ばたく動力となって─



 なぁ、そうだろ?



 俺は今もそうだって

 信じているよ…?


      *  *  *
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