天空に一番近い蒼─好きになった人は腰掛け体育教師でした

「馬鹿なんじゃないの!?わざわざスポーツクラブから婚活に女子校に来てるわけ?」

「うーん、まぁそういう気持ちも無くはない」


 先生は悪びれもせず、堂々と言い切った。


 が。


「…ん?」

と首を傾げる。


「おい青海」

 先生が急に厳しい声で私を呼ぶ。そして…


「今『スポーツクラブ』って言ったな?」

「あ…」

「俺の本業がスポーツクラブに勤めてるってことは生徒には話してないはずだ」

「……」

「誰に聞いた?」

「……」

「誰に聞いた、と聞いてる」


 先生はいつになくきりっとした口調で私に詰問する。

 まぁ尋ねている内容は「なぜ『スポーツクラブ』から婚活に来たか知ってるのか?」という極めて低俗な話なのだけど。


「青海、答えろ」


 先生の黒々とした双眸が私を射抜くように見つめる。


(ホント、ここ開放的過ぎ…)


 先生には特に知られたくなかったのに…


「……

 …姉に」

「姉ちゃん?卒業生か?」


 私は俯いて小さく首を振る。先生の瞳はまだ私を見ている。


「……

 …ここの職員」

「職員!?青海先生なんていたっけか?え、何教えてる人?」

「…体育」

「体育!?俺と一緒じゃん!?」

「……」

「え?誰誰?教えて?」


 先生は当初の目的を忘れたみたいに興味深そうにキラキラした眼で私を覗き込む。


「……」

「青海?」

「……ま」

「え?」

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