天空に一番近い蒼─好きになった人は腰掛け体育教師でした
今まで姉と私の両方に初めて会う人は誰でも、皆一様に「似てないね」と言った。ともすると私の前でも「麗ちゃんは美人なのにね」と口にする人もいた。
自分でもそう思う。
姉はすらりと背が高く、手脚が長くて小顔。バストもウエストも女性的な美しい曲線を描き、私から見ても魅力的に見える。顔立ちも鼻筋の通った小さな顔に長い睫毛が縁取る切れ長の瞳と形の良い唇が黄金比で配置されている。
かたや私は小さくて痩せっぽっちで、丸い眼も低い鼻もぽっちゃりした唇も、全てが子供っぽくて本当に嫌になる。
自分でも嫌になる私なのに、『似てる』なんて、それも『可愛いね』なんて言った人は初めてだった。
お世辞だって分かっている。
けれど、晴くんの穏やかで上品な雰囲気から嫌なものは感じなかった。むしろ「凄く好い人だな」と思った。
「どうする?勉強見てもらう?」
「…うん」
それから週に2、3回、晴くん─晴先生は夕方うちに来て勉強を見てくれることになった。
地元の国立大学の4年生で生物有機化学とか微生物学とかを勉強しているという晴先生は自身が明晰なばかりでなく、教え方もとても上手だった。
おかげで私の成績は劇的に上がり、1学期末には順位が50位も上がっていた。
「凄いね唯ちゃん!」
成績表を見ながら晴先生は自分のことのように喜んでくれた。
自分でもそう思う。
姉はすらりと背が高く、手脚が長くて小顔。バストもウエストも女性的な美しい曲線を描き、私から見ても魅力的に見える。顔立ちも鼻筋の通った小さな顔に長い睫毛が縁取る切れ長の瞳と形の良い唇が黄金比で配置されている。
かたや私は小さくて痩せっぽっちで、丸い眼も低い鼻もぽっちゃりした唇も、全てが子供っぽくて本当に嫌になる。
自分でも嫌になる私なのに、『似てる』なんて、それも『可愛いね』なんて言った人は初めてだった。
お世辞だって分かっている。
けれど、晴くんの穏やかで上品な雰囲気から嫌なものは感じなかった。むしろ「凄く好い人だな」と思った。
「どうする?勉強見てもらう?」
「…うん」
それから週に2、3回、晴くん─晴先生は夕方うちに来て勉強を見てくれることになった。
地元の国立大学の4年生で生物有機化学とか微生物学とかを勉強しているという晴先生は自身が明晰なばかりでなく、教え方もとても上手だった。
おかげで私の成績は劇的に上がり、1学期末には順位が50位も上がっていた。
「凄いね唯ちゃん!」
成績表を見ながら晴先生は自分のことのように喜んでくれた。