天空に一番近い蒼─好きになった人は腰掛け体育教師でした
翌日は朝から小雨が降っていた。
(あんまり天気悪くならないで欲しいなぁ。もうすぐ体育祭もあるし)
昼に小休止のように雨が止んだので、私は教室で茉莉ちゃんたちとお弁当を食べてから、そっとひとり屋上に上がってみた。
案の定床は水溜まりだらけだったけれど、フェンスに凭れて見渡すと、家々の屋根の稜線と雨雲の霧に煙る向こうに海の水平線が見え隠れするのが臨めた。
重くしっとりと湿り気を含む風が時々頬を撫で、スカートのプリーツを揺らす。
燕が低く飛ぶのを何とはなしに眼で追っていると、キィ、という金属音を聞き付けた。
瞬間、胸が小さく跳ねる。
「おー、青海ぃ」
先生が来るの、分かってるのに、どうして私は屋上に来てしまったんだろう…
「そんなとこで何してんだよ」
先生は私の後ろに回り、肩にぽんと手を置くと腰を屈めて私の肩越しに同じ風景を見る。
「何か見えるの?」
「…うぅん」
私が首を振ると、
「え、まさかまたフェンス上ろうとか思ってねぇよな…?」
と眉を潜めて私を覗き込んだ。
「…どうかな?」
「えっ?ちょ…マジ勘弁して」
肩を掴む先生の手に力が篭る。
(馬鹿じゃないの)
上るわけないじゃん…
(あんまり天気悪くならないで欲しいなぁ。もうすぐ体育祭もあるし)
昼に小休止のように雨が止んだので、私は教室で茉莉ちゃんたちとお弁当を食べてから、そっとひとり屋上に上がってみた。
案の定床は水溜まりだらけだったけれど、フェンスに凭れて見渡すと、家々の屋根の稜線と雨雲の霧に煙る向こうに海の水平線が見え隠れするのが臨めた。
重くしっとりと湿り気を含む風が時々頬を撫で、スカートのプリーツを揺らす。
燕が低く飛ぶのを何とはなしに眼で追っていると、キィ、という金属音を聞き付けた。
瞬間、胸が小さく跳ねる。
「おー、青海ぃ」
先生が来るの、分かってるのに、どうして私は屋上に来てしまったんだろう…
「そんなとこで何してんだよ」
先生は私の後ろに回り、肩にぽんと手を置くと腰を屈めて私の肩越しに同じ風景を見る。
「何か見えるの?」
「…うぅん」
私が首を振ると、
「え、まさかまたフェンス上ろうとか思ってねぇよな…?」
と眉を潜めて私を覗き込んだ。
「…どうかな?」
「えっ?ちょ…マジ勘弁して」
肩を掴む先生の手に力が篭る。
(馬鹿じゃないの)
上るわけないじゃん…