天空に一番近い蒼─好きになった人は腰掛け体育教師でした
どうしてかな。
近過ぎると神経が張り詰めてしまうのは。
どうしてかな。
きつい言い方をしてしまうのは。
「…教室戻るね」
「ん?あぁ」
正体不明のときめきから逃れたくて、先生の手の届く距離から離れた。
(本当はまだ戻りたくないんだけどな…)
上靴を引き摺るみたいに階段に続く扉に向かう。
「あ、そうだ青海」
(!)
背中に呼び掛けられた声に足を止めた。
待ってたわけじゃない。
たまたま、たまたま直ぐ止まっただけだ。
先生はいつも煙草が入っているポケットを探りながら私の前に回り込む。そしてところどころ縁が折れた付箋とボールペンを取り出し、手の中で何事か書き込むと、
「はい」
と私の眼の前に押し付けた。
「え…?」
咄嗟にそれを受け取る。小さく思いの外可愛らしい文字で、何かアルファベットが羅列している。
「これ俺のメッセアプリのID。困ったら連絡…」
「絶対しない!!」
先生の言葉を遮ると、先生を押し退けて階段へ駆け出した。
(……)
どうしてかな。
傷付くの分かってるのに関わってしまうのは。
針千本探しても信じたいと思ってしまうのは。
どうしてかな。
こんなに胸が温かいのは─
*
近過ぎると神経が張り詰めてしまうのは。
どうしてかな。
きつい言い方をしてしまうのは。
「…教室戻るね」
「ん?あぁ」
正体不明のときめきから逃れたくて、先生の手の届く距離から離れた。
(本当はまだ戻りたくないんだけどな…)
上靴を引き摺るみたいに階段に続く扉に向かう。
「あ、そうだ青海」
(!)
背中に呼び掛けられた声に足を止めた。
待ってたわけじゃない。
たまたま、たまたま直ぐ止まっただけだ。
先生はいつも煙草が入っているポケットを探りながら私の前に回り込む。そしてところどころ縁が折れた付箋とボールペンを取り出し、手の中で何事か書き込むと、
「はい」
と私の眼の前に押し付けた。
「え…?」
咄嗟にそれを受け取る。小さく思いの外可愛らしい文字で、何かアルファベットが羅列している。
「これ俺のメッセアプリのID。困ったら連絡…」
「絶対しない!!」
先生の言葉を遮ると、先生を押し退けて階段へ駆け出した。
(……)
どうしてかな。
傷付くの分かってるのに関わってしまうのは。
針千本探しても信じたいと思ってしまうのは。
どうしてかな。
こんなに胸が温かいのは─
*